
🔹 基本的な定義
- 反物=和服用の布地の単位
- 反物は通常、織り上げられた状態で巻かれている布で、裁断や縫製はまだされていません。
- 「一反」は、着物一着分の長さを持つ布で、一般的に以下のようなサイズです:
種類 | 長さ(おおよそ) | 幅(おおよそ) |
---|---|---|
女性用反物 | 約12〜13メートル | 約36〜40センチ |
男性用反物 | 約12〜13メートル | 約38〜42センチ |
※ 着物の種類や用途(浴衣・訪問着・留袖など)によって多少の違いがあります。
🔹 用途
- 着物(訪問着、小紋、紬など)
- 浴衣(夏に着る軽装)
- 羽織や袴などの和装アイテム
🔹 素材の種類
反物にはさまざまな素材があります:
- 絹(シルク):高級感があり、正式な着物に使われる
- 綿:カジュアルな浴衣などに使われる
- 麻:夏用の涼しい着物に向く
- ウール:防寒性が高く、冬の普段着に
🔹 名前の由来
「反(たん)」は、布を反(そ)らせて巻いた形状に由来すると言われています。「反物」はその巻かれた一単位を表す言葉です。
🔹 現代での位置づけ
現代では既製品の着物も多いですが、自分の体に合わせて仕立てるために反物を買ってオーダーする人もいます。また、反物はインテリアや小物作りなど、和風の布としての人気もあります。
🔶 日本の有名な反物・織物ブランド一覧
名称 | 産地 | 特徴 |
---|---|---|
西陣織(にしじんおり) | 京都府 | 豪華な金襴・錦など、主に帯に使われるが、反物もあり。絹の多色織が美しい。 |
結城紬(ゆうきつむぎ) | 茨城県・栃木県 | 手織り・手紡ぎの高級紬。軽くて丈夫。重要無形文化財。 |
大島紬(おおしまつむぎ) | 鹿児島県 | 泥染めや藍染めを使い、非常に細かい絣模様。光沢感とシャリ感が特徴。 |
久留米絣(くるめがすり) | 福岡県 | 木綿で作られる日常着向きの絣(かすり)反物。素朴で丈夫。 |
小千谷縮(おぢやちぢみ) | 新潟県 | 麻の反物で、夏用の着物に。シャリ感があり涼しい。重要無形文化財。 |
十日町絣(とおかまちがすり)・十日町友禅 | 新潟県 | 染めの技術が高く、訪問着や振袖に人気。華やかな模様が多い。 |
芭蕉布(ばしょうふ) | 沖縄県 | 芭蕉(バナナの一種)の繊維から作られる。夏に適した軽さと通気性。 |
🔹 その他の伝統的な染・織技法
- 友禅染(ゆうぜんぞめ):加賀友禅(石川県)、京友禅(京都)などが有名。
- 紅型(びんがた):沖縄の伝統染め。鮮やかな色彩が特徴。
- 絞り染め(しぼりぞめ):有松絞り(愛知県)など。布を縛って模様を作る。
🔸 人気・高級な反物の例
- 「白大島(しろおおしま)」= 白地の大島紬。非常に上品で高価。
- 「正絹の訪問着用反物」= 結婚式や式典に使われる絵羽模様の反物。
- 「伝統工芸士による手織り反物」= 数十万円以上することも。